Abstract:
現代日本語には「結婚している女性」「安定した椅子」などのように複合サ変動詞を形成し、文中で「ヲ」「ニ」「デ」「ガ」「ハ」などの諸格を取らず単独のままで名詞を形容するものが存在している。複合サ変動詞形式以外では、形容動詞の「ナ」と連体の「ノ」も同じく連体修飾に用いられる要素であり、名詞の状態・属性などを表す場合に修飾語と繋がりを供給するものである。
本稿では、このような形容詞性を持つ修飾語となっており、連体修飾の機能を担う「漢語形容詞 」に付加する「テイル・タ」形と連体の「ナ・ノ」形の比較を行い、諸形式の中でどちらの形態が優位に用いられており、形容詞的な用法で用いられる傾向がどのように見られるかを考察する。また、形容詞的用法として使用可能な漢語形容詞を分析し、それぞれの使用実態をまとめた図表を作成する。